相続対策はいつから始めるのがよいか

相続対策は、亡くなる直前にまとめて行うものではありません。贈与や遺言の準備も大切ですが、その前に、どんな財産があり、誰に何を引き継ぎたいのかを家族で共有できる時期に動き始めることが土台になります。ここでは、「いつから始めるか」を迷っている方に向けて、考え始める目安と進め方を落ち着いて整理します。

相続対策を始める時期は「元気で話せるうち」

結論からいうと、相続対策は「元気で話せるうち」に始めるのが基本です。早すぎて困る場面より、遅れて確認できなくなる場面のほうが現実には多くあります。通帳や印鑑の保管場所、ネット銀行や証券口座の有無、不動産が自宅だけか貸家もあるか、生命保険の受取人が今の家族関係に合っているかは、本人が説明できるうちなら一つずつ確かめられます。亡くなった後の手続きは家族が進めますが、材料をそろえる作業は生前のほうが進めやすいものです。

時期の目安 まず見たいこと
話し合えるうち 財産の一覧、名義、保険、借入れ
体調の変化が出る前後 贈与の方針、遺言、受取人の確認
直前の時期 できることは限られるため、記録の整理を優先

親の相続を考える場合も、入院や介護が始まってから税金の話だけを進めるより、まずは財産の場所と名義、連絡先、家族の希望を確認する順番が現実的です。制度選びを急ぐ前に現状をつかんでおくと、その後に必要な対策を選びやすくなります。判断能力が下がると、贈与も遺言も不動産の売却もできなくなります。後見や家族信託で備える方法は認知症になる前にできること、後見と家族信託にまとめています。

早めに確かめたい3つのポイント

財産を一覧にして、抜けを減らす

最初の一歩は、預貯金、不動産、株式、保険、借入れを一枚で見渡せる形にすることです。金額を細かく計算する前に、どこに何があるかを家族で共有できる状態を目指します。生前の確認事項を順に洗い出したいときは、相続の備えチェックなら、親に聞いておくことと自分で決めておくことが理由つきで分かります。

分けにくい財産を先に見つける

自宅や貸家などの不動産は、現金のように人数で分けにくく、共有にすると管理や売却の場面で意見が分かれることがあります。誰が住み続ける予定か、将来売る考えがあるかを生前に話しておくと、亡くなった後の話し合いの土台になります。事業用の財産や家業に関わる口座がある場合も、家族が存在を知っているかどうかで進み方が変わります。

遺言や保険の受取人も見直す

相続対策は、贈与だけで完結するものではありません。誰に何を渡したいかが固まっているなら、遺言で意思を残す方法があります。自筆証書遺言を考えるなら、自筆証書遺言の保管制度を法務局で確認で、作成後の保管方法を見ておくと流れをつかめます。生命保険を使った備え方を知りたいときは、生命保険を相続対策に使う方法と注意点を先に読んでおくと、家族で話す際の材料になります。

生前贈与は数年単位で考える

生前贈与は毎年110万円(租税特別措置法70条の2の4)という数字だけで判断しがちですが、相続対策として見るなら、いつ渡すか、誰に渡すか、記録を残せるかまで含めて考えます。毎年同じ人に同じ時期に渡すだけではなく、贈与契約書を残す、振込で履歴を残す、受け取った側が管理できる形にする、といった整え方も欠かせません。基本から見直したいときは、生前贈与110万円と暦年課税の基本で、毎年の贈与の考え方を確認できます。

さらに、亡くなった方から受けた贈与のうち、相続財産に加算される期間は、2024年1月1日以後の贈与から3年から7年へ段階的に延長されています。延長された4年分には合計100万円まで加算しない扱いがあります(相続税法19条1項)。詳しい改正の流れは、生前贈与の7年加算、改正で何が変わるかで順に追えます。直前にまとめて渡す発想より、早めに方針を決めて無理のない範囲で続ける見方のほうが、制度の変化にも対応できます。

相続税がかからない見込みでも準備は必要

相続対策というと相続税の話だけに見えますが、実際には分け方と手続きの準備が中心です。財産の合計が基礎控除額を超えない見込みでも、口座や保険が見つからない、自宅を誰が引き継ぐか決まっていない、借入れの有無が分からないという状態だと、家族は確認作業から始めることになります。税金の申告が必要かどうかとは別に、情報をまとめておく意味があります。

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円

この表は、3,000万円に法定相続人1人あたり600万円を足す式を人数に当てはめたものです(相続税法15条)。財産の評価が必要なため、申告の要否を金額だけで決めきることはできませんが、相続対策を始める時期を考える目安にはなります。申告の可能性を含めて全体像を見たいときは、相続まるごと診断で、父・母・ご自身を選んで相続人の数と基礎控除額をまとめて確かめる方法もあります。

いま始めるなら、税金より先に順番を決める

  1. 財産の種類と保管場所を書き出す
  2. 誰に何を引き継いでほしいか、本人の希望を聞く
  3. 贈与、遺言、保険を同じものとして扱わず、役割を分けて考える(生前贈与と遺言、どちらから考えるか)
  4. 家族構成や財産が変わったら見直す

たとえば、教育費や住宅資金の援助のつもりで渡していたお金があるなら、贈与として整理する必要があるかを確認します。特定の子に多めに渡す考えがあるなら、ほかの家族にどう説明するかも生前から考えておくと、亡くなった後の話し合いが進めやすくなります。対策は一度決めて終わりではなく、家族構成、住まい方、財産の中身に合わせて見直していくものです。判断に迷う財産や家族関係があるときは、相談窓口をご案内しています。

この記事の根拠

情報の根拠と作成方針について

この記事を読んだあとに

相続まるごと診断(生前の備え)

ご家族の構成を入れると、いま相続人になる方と相続分、基礎控除を超えるかが出ます。

いま相続人になる方を診断する
  • 匿名・登録不要
  • 最短1分
  • 何度でも無料

運営:スーパービー株式会社

相続に関わるお金と手続きの情報を整理してお伝えしています。

条文にもとづいています

期限も相続人の範囲も相続分も、法令で決まっています。参照した資料と確認日を公開しています。

判断に迷ったら

本サイトは法律相談や税務相談を行いません。個別の判断が必要なときは、相談窓口をご案内します。

相続の期限を無料でチェック

亡くなった日を入れるだけ・登録不要・送信されません