相続で使う登記事項証明書の取り方

相続で不動産があると分かったら、最初に確認したい書類の一つが登記事項証明書です。亡くなった方の名義のままか、土地と建物がそろっているか、住宅ローンなどの担保が残っていないかを見分ける手がかりになります。もっとも、住所をそのまま書けば取れるとは限らず、土地と建物を別々に請求する場面もあります。ここでは、相続で登記事項証明書を取る目的、請求前に確かめる点、見方、その後の進め方を順にまとめます。

相続で登記事項証明書を取るのは何のためか

登記事項証明書は、不動産について登記されている内容を証明する書類です。相続では、次の確認に使います。

  • 亡くなった方が登記上の所有者になっているか
  • 土地と建物がどちらもあるか
  • 抵当権など、担保に関する登記が付いていないか
  • 持分が全部か、一部だけか

いわゆる「登記簿謄本」と呼ばれていたものに近い書類と考えるとイメージしやすいかもしれません。相続人でなくても、誰でも法務局に登記事項証明書の交付を請求できます(不動産登記法119条1項)。

なお、登記事項証明書は相続登記の申請書そのものではありません。あくまで現状を確かめるための書類です。先に証明書を見て不動産の内容を整理しておくと、その後に戸籍や遺言書、遺産分割の確認へ進みやすくなります。

請求する前に確かめたい3つの情報

住所ではなく地番や家屋番号で探すことがある

相続でつまずきやすいのが、普段の住所と登記で使う表示が同じとは限らない点です。土地は地番、建物は家屋番号で管理されることがあり、住居表示とは違う場合があります。固定資産税の書類、売買契約書、以前の登記関係の書類が手元にあれば、そこに載っている表示を確認します。

「実家の住所は分かるのに、請求書に何を書けばよいか分からない」というときは、まず所在地の表示を正確に確かめることが先です。この確認があいまいだと、別の不動産の証明書を取ってしまうことがあります。

土地と建物は別々に考える

一戸建てでは、土地と建物が別の登記になっているのが通常です。そのため、家を確認したいときは建物だけでなく、敷地である土地の登記事項証明書も必要になることがあります。相続登記で名義を移す段階でも、どちらか一方しか見ていないと不足が出がちです。

また、共有になっている不動産では、亡くなった方の持分だけが登記されている場合があります。証明書を取る目的が「家を相続する人を決めること」なのか、「そもそも何が対象かを洗い出すこと」なのかで、確認する範囲も変わります。

名義人の氏名だけで判断しない

証明書に亡くなった方と同じ氏名が出ていても、それだけで同一人物と決めつけないほうが安全です。転居や婚姻で住所や氏名の履歴がつながっているかは、戸籍や住民票の除票などほかの資料と合わせて確かめます。相続人の範囲から整理したいときは、誰が相続人か、範囲の決まり方で基本の順番を見ておくと流れをつかみやすくなります。

登記事項証明書の取り方

請求方法は、法務局の窓口、郵送、オンライン請求が一般的です。どの方法でも、まず不動産を特定する情報をそろえ、そのうえで証明書の交付を求めます。相続だから特別な様式になるわけではなく、通常の証明書請求として進めます。

  1. 不動産の所在地、地番、家屋番号を確認する
  2. 土地か建物か、必要な不動産を分けて整理する
  3. 請求書に対象の不動産を記入して交付を請求する
  4. 受け取った証明書で名義や権利関係を確認する

相続人がまだ確定していなくても、証明書を取って現状を確認すること自体は早めにできます。誰が相続するかの話し合いの前に、不動産がいくつあるかを把握しておくと、その後の手続きの見通しが立ちます。記事の途中に表示される相続登記チェックでは、亡くなった日と分け方の状況から、登記の期限日や必要書類、登録免許税のめやすを整理できます。

相続登記全体の流れを先に見たい場合は、相続登記は自分でできる?進め方と注意点も合わせて確認すると、証明書を取った後に何をそろえるかがつながります。

受け取ったらどこを見るか

見る場所 確認したいこと
表題部 土地なら所在や地番、建物なら所在や家屋番号など、不動産の基本情報
権利部甲区 現在の所有者、共有持分、過去の所有者の移り変わり
権利部乙区 抵当権など、担保に関する登記の有無

相続で特に見たいのは、亡くなった方の名義がどう載っているかです。持分だけを持っていたのか、単独の所有者なのかで、その後に用意する書類の範囲も変わります。住宅ローンが完済していても、登記上は抵当権が残っていることがあるため、乙区まで目を通しておくと見落としを防げます。

証明書を取った後に進めること

登記事項証明書で不動産の内容が分かったら、次は相続人の確定、遺言書の有無の確認、分け方の整理へ進みます。相続登記でそろえる書類の全体と費用は相続登記に必要な書類と、かかる費用にまとめています。戸籍を何通も提出する場面があるときは、法定相続情報一覧図とは何か、使い方と作る流れを見ておくと、どんな場面で役立つかが分かります。

遺言書がなく、相続人どうしで不動産の帰属を決めるときは、遺産分割協議書の内容が重要です。作成前に遺産分割協議書に書くことで確認項目を見ておくと、書き漏れがないか点検しやすくなります。

登記事項証明書は、相続登記の出発点になる書類です。まず現状を正確に確認し、そのあとで戸籍や遺言書、話し合いの内容を重ねていくと、必要な手続きの順番が見えてきます。証明書の記載と手元の資料がつながらないときや、分け方で判断に迷うときは、公的機関の案内や相談窓口も確認してください。

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