相続登記では、申請の流れだけでなく、登録免許税がかかるかも気になりやすいところです。もっとも、相続ならいつでも免税になるわけではありません。一定の土地について、限られた場面で税がかからない取扱いがあり、その根拠は租税特別措置法84条の2の2です。まずは、どのようなときに対象になるのかを絞って見ていくと、申請の準備が進めやすくなります。
相続登記の免税措置は限定された制度です
登録免許税は、不動産の名義を移す登記を申請するときにかかる税です。相続による所有権の移転では、固定資産税評価額の0.4%が原則です。ただし、相続登記では、一定の土地について免税措置が設けられています。ここで大事なのは、相続した不動産すべてが対象ではないという点です。建物が入っているときや、相続以外の登記が混ざるときは、全部が免税になるとは限りません。
また、免税になるかどうかは、申請書に書く登記の内容と、不動産の種類、評価額などを見て判断します。相続で名義を変えるというだけで自動的に税がゼロになる制度ではないため、土地ごとの確認が欠かせません。記事の途中にある相続登記チェックも、必要書類や登録免許税のめやすを見比べる入口として使えます。
主な対象になりやすい場面
相続登記の免税措置として、まず確認したい場面は次のとおりです。
| 場面 | 確認したい点 |
|---|---|
| 一度目の相続人が登記前に亡くなった土地 | 相続が重なった土地で、前の相続の登記をしないまま次の相続が起きていないか |
| 固定資産税評価額が100万円以下の土地 | 評価額の条件を満たす土地があるか |
登記前に次の相続が起きた土地
亡くなった方から土地を相続した人が、その名義変更をしないまま亡くなり、次の相続人がまとめて登記を進めることがあります。このように相続が続いた土地は、免税の対象になる場合があります(租税特別措置法84条の2の2)。古い相続が残っている家では起こりやすく、名義が何代も前のままになっていると見落とされがちです。
固定資産税評価額が100万円以下の土地
固定資産税評価額が100万円以下の土地も、免税の対象になる取扱いがあります(租税特別措置法84条の2の2)。山林や遠方の土地などで確認されることがあります。複数の土地があるときは、まとめて一括で判断するのではなく、個々の土地ごとに当てはまるかを見ます。課税明細書や評価証明書で土地の表示と評価額を確認しておくと、申請前の見通しが立ちます。
免税措置にも期限があり、申請書に根拠を書きます
どちらの免税措置も、2027年3月31日までに申請する登記が対象です。相続登記の義務化の経過措置と同じ日なので、古い相続の名義を整理するなら、この日より前に申請する必要があります。また、免税を受けるには、申請書の登録免許税の欄に「租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税」のように根拠となる条文を書く必要があります。書き忘れると、対象の土地でも免税されず、通常どおり課税されます。
免税にならない場面と迷いやすい点
免税措置は便利ですが、対象外のケースも少なくありません。まず、土地ではなく建物の登記は、この免税措置の対象として考えないほうが安全です。土地と建物を一緒に相続していても、免税の話は土地部分だけを分けて確認します。
また、相続による名義変更ではなく、売買や贈与など別の原因で登記する場合は、この制度の前提から外れます。評価額が条件を超える土地も対象外です。免税の可否は、相続登記そのものの要否とは別の話なので、税がかからない可能性があっても、登記の準備自体は必要になります。
遺産分割がまだまとまっていないときは、正式な相続登記の前に使える届出があります。分け方が決まるまでの対応は、相続人申告登記とは何か、使う場面と注意点を見ると、今の段階で何を出せるかがつかめます。共有名義にするか迷っているなら、後の管理や売却に影響するため、分け方そのものは慎重に考える必要があります。
申請前にそろえたい資料
免税措置を検討するときは、税の条件だけでなく、不動産の情報が正確に取れているかを先に確かめます。確認したいのは、土地の登記事項、固定資産税評価額、亡くなった方から現在の相続人までのつながりがわかる戸籍類です。そろえる書類の全体は相続登記に必要な書類と、かかる費用にまとめています。土地の表示や名義を見直すときは、相続で使う登記事項証明書の取り方が役立ちます。
自分で申請する予定なら、書類集めの前に全体の順序を確認しておくと手戻りを減らせます。流れを知りたいときは、相続登記は自分でできる?進め方と注意点で、どこまで自分で進めるかを考えてみてください。期限の確認には、相続の期限チェックに亡くなった日を入れると、相続登記を含む主な期限が日付で並びます。
義務化の後は、免税の有無と期限を分けて確認します
2024年4月1日から相続登記は義務になり、施行前に相続した不動産も対象です(不動産登記法76条の2)。まだ名義が亡くなった方のままなら、2027年3月31日までに申請が必要になります。ここで分けて考えたいのは、「免税の対象か」と「いつまでに申請するか」は別だということです。登録免許税がかからない可能性があっても、期限の確認はそのまま必要です。
相続が重なっている土地、評価額が低い土地、遺産分割がまとまっていない不動産は、免税措置と登記義務の確認が重なりやすい場面です。条件に当てはまるか迷うときは、記事内の道具で事実関係を整理したうえで、相談窓口の案内も確認してください。
