生命保険金は、受け取ったらそのまま相続税がかかると思われがちですが、一定額までは非課税です。確認したいのは、誰が受け取るか、法定相続人は何人か、そして保険金以外の財産を含めた全体額です。ここでは、亡くなった方が保険料を負担していた生命保険金について、相続税の非課税枠の見方を整理します。
生命保険金の非課税枠とは
亡くなった方の死亡によって支払われる生命保険金のうち、相続人が受け取ったものには、500万円×法定相続人の数の非課税枠があります(相続税法12条1項5号)。この範囲に収まる部分は、相続税の対象に入れません。
ただし、生命保険金を受け取れば自動で全額が非課税になるわけではありません。非課税枠が使えるのは、法定相続人に当たる人が受け取った保険金です。受取人が相続人ではないときは、この枠の対象外です。相続放棄をした人も相続人ではなくなるため、受け取った保険金に枠は使えません。さらに、相続税がかかるかどうかは、保険金だけでなく、預貯金や不動産などを含めた財産全体で見ます。受取人が孫のときは、非課税枠が使えないうえに税額が2割加算されます。詳しくは相続税の2割加算の記事にまとめています。
そのため、まずは保険証券や支払通知を見て、受取人がだれか、亡くなった方が保険料を負担していた契約かを確かめます。ここが曖昧なままだと、非課税枠の使い方を誤りやすくなります。生前に保険で備える側からの整理は生命保険を相続対策に使う方法と注意点にあります。
非課税枠の計算方法
計算はシンプルで、法定相続人の数に500万円を掛けます。先に人数を確かめ、その後に保険金の合計と比べます。目安は次のとおりです。
| 法定相続人の数 | 生命保険金の非課税枠 |
|---|---|
| 1人 | 500万円 |
| 2人 | 1,000万円 |
| 3人 | 1,500万円 |
| 4人 | 2,000万円 |
| 5人 | 2,500万円 |
たとえば、法定相続人が3人なら非課税枠は1,500万円です。受取人が1人だけでも、法定相続人の数が3人なら、枠は1,500万円で考えます。だれが受け取ったかと、法定相続人が何人いるかは、別々に確認する必要があります。
法定相続人の数は早めに確かめます
人数を一人違えると、非課税枠も500万円変わります。誰が相続人になるか迷うときは、誰が相続人か、範囲の決まり方で基本を確認できます。家族関係をまとめて見たいときは、相続まるごと診断を使うと、相続人の範囲と基礎控除額を一度に整理できます。
国税庁の案内でも、法定相続人の数え方は戸籍上の見た目どおりとは限らないとされています。相続放棄があったときや養子がいるときは、基礎控除と同じ考え方で確認するため、戸籍を集める段階で人数を固めておくと後の見直しが少なくなります。
どこまで非課税になり、どこから課税対象か
非課税枠は、法定相続人が受け取った生命保険金の合計に対して使います。合計が非課税枠以下なら、その保険金について相続税の対象に入る額はありません。合計が枠を超えると、超えた部分をほかの財産と合わせて見ます。
契約ごとではなく合計で見ます
生命保険が複数の契約に分かれていても、契約ごとに500万円の枠が付くわけではありません。法定相続人が受け取った死亡保険金を合計し、その総額に対して非課税枠を当てます。保険会社ごとに通知を並べ、見落としがないか確認してください。
- 受取人が配偶者や子でも、法定相続人であるかを確かめる
- 死亡保険金が複数あるときは、契約ごとではなく合計で見る
- 相続人が複数受け取るときは、非課税枠を受け取った割合に応じて分けて考える
- 保険料をだれが負担していたかで、扱いの前提が変わることがある
生命保険金は、実際に振り込まれた額と、相続税の対象に入れる額が同じとは限りません。通帳に入った金額だけで判断せず、契約内容と受取人を並べて確認するのが近道です。
相続税がかかるかを見る順番
生命保険金に非課税枠があっても、相続税がかからないとまでは言い切れません。相続税は、保険金だけでなく、財産全体と基礎控除額を比べて考えるからです。進め方は次の順番です。
- 保険証券や支払通知で、受取人と保険料を負担していた人を確認する
- 法定相続人の数を確かめ、500万円×人数で非課税枠を出す
- 非課税枠を差し引いた保険金と、預貯金・不動産など他の財産をまとめる
- その合計が基礎控除額の範囲に収まるかを見る
基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です(相続税法15条)。考え方は相続税の基礎控除、計算方法を確認で整理できます。記事の途中に出る道具の「相続税がかかるか調べる」を使うと、ご家族の構成と財産のおおよその合計から、基礎控除を超えるかを確認できます。
生命保険金の非課税枠は有効でも、ほかの財産と合わせると申告が必要になることがあります。保険金の有無だけで止まらず、全体像を並べてみることが欠かせません。
申告前に確認したいこと
実際の確認では、次の点を先にそろえると見通しが立ちます。
- 保険金の受取人がだれか。戸籍上の相続人と一致しているか
- 生命保険が1契約だけか、複数か。死亡保険金を合計で見ているか
- 法定相続人の数え方に迷う事情がないか。相続放棄や養子がいるときは特に確認する
- 保険金以外の財産を含めて、基礎控除を超えるか
- 申告が必要になりそうなときは、期限までの準備が間に合うか
申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月です(相続税法27条1項)。手続きの時期を確認したいときは、相続税の申告期限は10か月、いつまでかもあわせてご覧ください。戸籍集めや財産の確認に時間がかかる場合でも、先に必要書類の見当を付けておくと進めやすくなります。
生命保険金の非課税枠は、相続税を考えるうえで大きなポイントですが、結論は家族関係や契約内容で変わります。数字だけを当てはめるのではなく、保険証券、支払通知、戸籍の確認をそろえて進めてください。受取人の指定や保険料の負担関係が入り組んでいるときは、相談窓口をご案内しています。
