未成年の子や、障害のある家族が相続人になると、相続税で使える控除があるのではないかと気になる方は多いと思います。未成年者控除と障害者控除は、どちらも相続税の負担を調整するための制度ですが、遺産の合計から引く控除ではなく、各人の相続税額から差し引く点に特徴があります。まずは制度の位置づけを押さえ、そのうえで対象になるか、年齢をどう数えるか、申告までに何をそろえるかを順に確認していきます。
未成年者控除と障害者控除はどんな控除か
この2つは、相続税がかかる場合に、一定の人の相続税額から差し引く控除です。したがって、最初に見るべきなのは「そもそも相続税の申告が必要か」です。相続人の数によって変わる基礎控除額(相続税法15条)は、相続税の基礎控除、計算方法を確認で整理できます。誰が相続人になるか迷うときは、相続まるごと診断で相続人の範囲と基礎控除額をまとめて見直せます。
記事の途中に表示される「相続税がかかるか調べる」も、財産の合計が基礎控除額を超えるかを確かめる入口になります。ここで申告が必要そうだと分かったら、次に未成年者控除や障害者控除の対象かどうかを見ていく流れです。
| 控除の名前 | 主な対象 | 控除額の考え方 |
|---|---|---|
| 未成年者控除 | 亡くなった日に18歳未満の、法律上の相続人 | 18歳に達するまでの年数1年につき10万円 |
| 障害者控除 | 障害者である、法律上の相続人 | 85歳に達するまでの年数1年につき10万円。特別障害者は20万円 |
どちらも、財産を受け取った人なら誰でも使えるわけではありません。遺言で財産を受け取る人の中には、法律上の相続人には当たらない人もいます。相続税の計算では、この違いが控除の有無に関わることがあります。
未成年者控除の対象と数え方
未成年者控除は、相続や遺言によって財産を受け取った人が、相続開始の時、つまり亡くなった日に18歳未満であるときに使う制度です。控除額は、18歳に達するまでの年数1年につき10万円です(相続税法19条の3)。年齢は申告書を出す日ではなく、亡くなった日で見ます。
たとえば、誕生日がまだ来ていないために亡くなった日時点で18歳未満なら対象を検討します。年数に1年未満の端数があるときは1年として数えるため、月単位まで細かく引き算するのではなく、最終的には切り上げで考える場面があります。この数え方を見落とすと、控除額の整理がずれやすくなります。
ここで気をつけたいのは、未成年であれば自動的に使えるわけではない点です。一般には、法律上の相続人であることが前提になります。孫が遺言で財産を受け取る場合など、立場によって扱いの確認が必要になることがあります。
また、未成年者本人の相続税額から控除しきれないときは、その人を扶養する義務がある人の相続税額から差し引ける扱いがあります(相続税法19条の3)。誰の税額からどこまで差し引けるかは、家族関係の確認が欠かせません。相続税の計算そのものを自分で進めるか迷う場合は、相続税の申告は自分でできる?進め方と判断の目安も参考になります。
障害者控除の対象と計算の考え方
障害者控除も、相続や遺言で財産を受け取った人のうち、障害者である法律上の相続人を対象とする制度です。控除額は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円で、特別障害者に当たるときは1年につき20万円です(相続税法19条の4)。こちらも年齢は亡くなった日で見て、1年未満の端数は1年として数えます。
未成年者控除との大きな違いは、基準になる年齢が18歳ではなく85歳であること、そして障害の区分によって1年あたりの金額が変わることです。手元に障害者手帳などがあっても、相続税での区分確認が必要になることがあるため、申告前に資料をそろえておくと流れを追いやすくなります。
障害者控除でも、本人の相続税額から引ききれない部分は、その人を扶養する義務がある人の相続税額から差し引ける扱いがあります(相続税法19条の4)。相続税は各人ごとに税額を見ていくため、遺産の分け方だけでなく、誰が相続人なのか、年齢や障害の区分がどうなっているかをあわせて確認することが必要です。
申告前に確認したいこと
申告までに見落としやすいのは、控除の条件よりも前に、相続税の申告が要るかどうかをはっきりさせることです。基礎控除額の範囲に収まるなら、未成年者控除や障害者控除を使う場面まで進まないことがあります。まず財産の合計を整理し、次に相続人を確定し、その後で各人の控除を確認する順番で進めると、必要書類も追えます。
- 亡くなった日を基準に、相続人それぞれの年齢を確認する
- 未成年者控除は18歳まで、障害者控除は85歳までの年数で考える
- 1年未満の端数があるときの数え方を確認する
- 障害者控除では、一般障害者か特別障害者かを資料で確かめる
- 引ききれない控除があるときは、扶養義務がある人の税額への控除を確認する
相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月です(相続税法27条1項)。書類集めや相続人の確認に時間がかかることもあるため、早めに全体の流れを把握しておくと落ち着いて進められます。期限そのものは相続税の申告期限は10か月、いつまでかで確認できます。
未成年者控除と障害者控除は、使える人にとっては意味の大きい制度ですが、基礎控除とは引く場所が違い、対象者の確認も欠かせません。家族関係や資料の読み方で迷うときは、申告前に相談窓口を利用する方法があります。
