相続の手続きは、銀行でも法務局でも税務署でも、まず「相続人が誰か」を書類で示すところから始まります。そのための書類が戸籍です。ここでいちばん時間がかかるため、手続き全体の順番のなかでも早めに動き出すと後が楽になります。
何を集めるのか
必要になるのは、原則として次の2つです。
- 亡くなった方の、出生から死亡までの連続した戸籍(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍)
- 相続人全員の、現在の戸籍
出生までさかのぼるのは、ほかに子がいないことを確認するためです。前の結婚のお子さまや、認知したお子さまも相続人になります(民法887条)。役所は「いない」ことを証明できないので、戸籍を全部つないで見せる必要があります。
お子さまがいない場合は、さらに範囲が広がります。次に相続人になるのはご両親、その次がご兄弟姉妹です(民法889条)。ご兄弟姉妹が相続人になる場合は、そのご兄弟姉妹の出生からの戸籍も要ることがあり、集める量が一気に増えます。
どこで取るか
戸籍は本籍地の市区町村で発行されます。亡くなった方が転籍を繰り返していると、そのたびに別の役場へ請求することになります。
進め方は、死亡時の戸籍から1つずつ前へさかのぼるのが確実です。手元の戸籍に「従前戸籍」や「改製前戸籍」として前の本籍地が書かれているので、そこへ次を請求します。遠方の役場には郵送で請求できます。定額小為替と返信用封筒、本人確認書類の写しを同封します。
なお、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できる仕組み(広域交付)が始まっています。使える範囲や請求できる人には条件があるため、行く前に窓口に確認してください。
集まらないときは
古い戸籍が戦災や災害で失われている場合があります。その場合は役場が「廃棄済み」「焼失」の証明を出してくれるので、それを添えることで手続きを進められることが多いです。自分で判断せず、提出先(銀行や法務局)に相談してください。戸籍集めから司法書士に頼む考え方は相続手続きは誰に頼むかで整理しています。住民票の除票が保存期間切れで取れず、相続登記で住所がつながらないときの進め方は登記簿の住所がつながらず除票も取れないときの見方にまとめています。
法定相続情報一覧図を作ると、後が楽になる
集めた戸籍の束は厚くなります。銀行、証券会社、法務局、税務署と、提出先の数だけ同じ束が必要になると、原本を返してもらいながら回すことになり、手続きが直列につながって時間がかかります。
これを1枚にまとめられるのが法定相続情報一覧図です。戸籍一式と相続関係を書いた図を法務局に提出すると、法務局が内容を確認したうえで、認証文のついた写しを無料で交付してくれます。必要な枚数を出してもらえるので、複数の手続きを同時に進められます。
作り方と様式は、法務局が法定相続情報証明制度として案内しています。相続する不動産がある方は、どのみち法務局へ行くことになるため、あわせて申し出ると効率的です。一覧図で分かること・分からないことと、申出の流れは法定相続情報一覧図とは何か、使い方と作る流れで整理しています。
誰が相続人になるかを先に見ておく
戸籍を集める前に、自分のご家族の場合は誰が相続人になるのかを知っておくと、どこまでさかのぼるかの見当がつきます。
相続まるごと診断にご家族の構成を入れると、相続人が誰になるか、法律ではどれだけ受け取ることになるかが条文の根拠つきで分かります。入力した内容はどこにも送信されません。