相続した実家を、住むか売るか空き家にするか

相続で残るもののうち、いちばん決まりにくいのが実家です。現金と違って分けられず、誰も住まないのに手放す踏ん切りもつかない。ここでは、選択肢ごとに何が起きるのかを整理します。

まず、名義を動かさないと何も選べない

売るにも、貸すにも、担保に入れるにも、名義が亡くなった方のままでは進みません。相続登記は2024年4月から義務になり、期限は3年です(不動産登記法76条の2)。

「どうするか決まってから登記しよう」と考えると、決まらないまま期限が来ます。使い道を決めるより先に、名義を相続人へ移しておくほうが選択肢が残ります。手続きは相続登記に必要な書類と費用にまとめています。名義をそのままにしたときに何が止まるかは相続不動産の名義変更をしないとどうなるにまとめています。

持ち続ける場合にかかるもの

誰も住んでいなくても、次の負担は続きます。相続放棄を考えている場合でも、実際に管理している人には保存義務が残ります。詳しくは相続放棄しても空き家の管理義務は残る?にまとめています。

  • 固定資産税・都市計画税。毎年かかります。
  • 火災保険。空き家は通常の住宅として扱われず、契約の条件が変わることがあります。
  • 管理の手間。庭木、通水、換気、郵便物。放置すると傷みが早く進みます。

さらに、管理が行き届かず周囲に危険を及ぼす状態になると、自治体から指導や勧告を受けることがあります。勧告を受けた場合、住宅用地に対する固定資産税の軽減が外れ、税額が上がります。放置は、いちばんお金のかかる選択になりやすいということです。

売る場合に必要になること

売却には、相続人全員の合意が要ります。共有のまま売る場合、1人でも反対すれば進みません。だからこそ、遺産分割の段階で「売って現金で分ける」と決めておくと、後が動かしやすくなります。

売却の合意が取れたら、次のような流れになります。

  • 相続登記で名義を相続人へ移す
  • 境界や越境の状況を確認する(測量が必要になることがあります)
  • 残置物を片づける
  • 売買契約、引渡し

売却して利益が出た場合は、譲渡所得として所得税・住民税の対象になります。相続した住宅の売却には特例が設けられている場合がありますが、適用の条件は細かく、金額の判断が必要です。このサイトでは税額の計算は行いません。該当しそうな場合は、国税庁の案内を確認するか、相談窓口をご案内しています。

共有のままにするとどうなるか

決められないときの逃げ道として、法律どおりの割合で共有にしておく方法があります。ただし共有は問題を先送りするだけで、次のことが起こります。共有で何が起きるかは相続した不動産を共有するデメリットで詳しく整理しています。

  • 売る、貸す、建て替えるのに、共有者の合意が要る
  • 共有者が亡くなると、その持分がさらに相続され、人数が増える
  • 数世代進むと、会ったこともない親族と話し合うことになる

相続登記が義務化された背景そのものが、この積み重ねで生まれた所有者不明土地の問題です。いま決めないことの費用は、次の代が払うことになります。

話し合いが進まないとき

実家をどうするかは、金額の問題だけでなく、そこで育った記憶が絡むため、感情的にこじれやすい部分です。話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の遺産分割調停という手続きがあります。進め方は遺産分割のページにまとめています。

このページの根拠

情報の根拠と作成方針について

相続登記・不動産について、相談窓口を探す

登記が済んでいるか分からない、前の代の名義のままになっている、売るかどうか決まらない。判断が要る場面では、相談窓口をご案内しています。ご相談は無料です。

相続登記・不動産のことを無料で相談する

運営:スーパービー株式会社

相続に関わるお金と手続きの情報を整理してお伝えしています。

条文にもとづいています

期限も相続人の範囲も相続分も、法令で決まっています。参照した資料と確認日を公開しています。

判断に迷ったら

本サイトは法律相談や税務相談を行いません。個別の判断が必要なときは、相談窓口をご案内します。

相続の期限を無料でチェック

亡くなった日を入れるだけ・登録不要・送信されません